評価とレビュー

つい先程、おせちのかまぼこをつつくかのごとくマッチングアプリを始めていた。
ニックネームの設定で頭を悩ませていた際、一緒に始めた友人が言い放つ。

「跡野マツリ」

そんなのニックネームにした日にはあまりにも名が体を表すこと山の如し、ひいては世も末である。

こうしよう。
私の名前は「今市カナ」
数枚の写真と限られた文字のみでジャッジし合うのには耐えられないが、郷に入っては郷に従え。
一言「イマイチかな?」と伺ってみるだけの器量は私にだってある。

「はじめまして、愛知生まれ愛知育ち、愛知ズッ友なシングル、今市カナです☆
ある日、ひょんなことからマッチングアプリを始めることになってどうしよう〜!?
素敵な彼氏、ゲット出来るのカナ!?
☆次回、今市 死すーーー!?
お楽しみに」

プロフィールをこれにしなかっただけ私はいくらか偉い。

いざ"普通に"設定し終えると、画面に次々表示される男性を右に降ったり左に歓迎するだけの簡単なお仕事がそこにはあった。
ヒヨコのオスメスを別けるバイトのようだと思ってしまったけれど、ちゃんと調べたら「初生ひな鑑別師養成所」に通わなければならない程、ひよこ鑑定士というのはレベルの高い仕事だったので申し訳なく思う。

相手を選ぶ基準はただ一つ、プロフィールが異彩を放っているか否かだ。
大して面白くもないのにキメている奴は綾部と読んでいる。逆に面白いから採用。

私がやっているのはマッチングアプリではなく「変人プロフィール選手権」だった。