手作りジャム
頭が良くない。
世界史が特にダメで、偏差値が29を下回る。
気がする。もはや自分の偏差値もわからない。
西加奈子さんのエッセイを読むまで、チェ・ゲバラのことを渡辺直美的存在と思っていた。
「アーミーとストリートにちょっぴしモード感を加えたファッション」
「ティーンからアダルトまで幅広い支持」
「スタバの新作は絶対飲んでます」
私のイメージしたチェ・ゲバラは、
部屋に観葉植物置いてそうなインスタグラマーだ。
調べたことで、彼の正体が予想より遥かにインフルエンサーだったことが発覚した。職業が革命家だったんだからね。
それに、チェは苗字でもなんでもなかった。
ただの「やあ」って意味だった。
革命家の業務内容がよくわからないから、カゴに入ったおやつを「やあ」と配り歩く街の愛されおじさんを想像した。
奥歯に張り付くチューイングキャンディを押し付けてきそう。
…私って阿呆やな。
無知な自分を恥じてもいるが、こんな自分が結構楽しい。
とんでもない見当違いをしているとそれもまた面白い上、調べても調べてもはっきりしないことを見つけてしまうのがなんとも誇らしい。
この時代にそんなものを見つけるのは、だだっぴろい公園で偶然四葉のクローバーを見つけるのと同義。
「前方後円墳はなぜあんな形になったのか。」
「リップクリームを塗ると喉が乾くのは何故か。」
「どうして牛乳を飲むと気持ち悪くなるのか。」
小学生の時に母親が作ってくれたチョコがけドーナツとか、
あの時父親が流した涙とか、
そういう類のものは心の中で一つ一つ瓶に入れて保管していて、
調べてもよくわからなかった不思議達も、同じように心の瓶に入れている。
だいたい15年くらい前、サイダーの泡は下から昇ってくると、全部淵の方へ流れていくのはどうしてか不思議に思った。
その不思議を入れた水色の瓶に、今からおよそ1年前、ようやく名前を付けた。
「表面張力だろうね。その方が安定するんだよ。」
そう言ってくれた人がいて、
彼と同じ名前を付けた。
私は頭が悪いけど、もしかすると、ちっちゃなハッピーを見つけるセンスは地区予選突破レベルかも。
いつかそれが、行く手を阻む苦しみ、悲しみより、味の濃いものになったらいい。
どうもこんばんわ、ジャムコレクターの、私です。